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NEWコンテンツ 2017.9.11
貴金属類のライティングと撮影環境
中級以上向け
商品撮影講座Tips1 ライティング編
撮影では、「光の使い方」は非常に重要です。ライティングにも様々な方法がありますが、ここでは正確な商品表現をするためのライティングの基本的な考え方(手順)について触れてみます。説明画像は「衣服でおぼえる商品撮影講座」DVDの「撮影の基本」より拝借致しました。それでは始めます。
まず、始めに室内天井の蛍光灯のみで被写体を照らしてみます。
影がバラバラ(四方八方)に出て美しくありません。光と影をまとめていきましょう。
そこで、室内の天井の光を消し、左斜め前方より、1灯の照明を入れます。
左前方約45度より光を入れます。斜めから光を入れるとグラディエーションがかかるので立体感が出ます。
※照明器具については、当サイト「照明機材」ページでご確認下さい。
しかし、直接光になるため、強い光になり、影も濃く出てしまいます。被写体のコントラストも強い。
(※補足ですが、影の出方を逆算すれば、照明がどこに配置してあるのかがわかります。)
ここで照明と被写体の間にデフューザーを入れて光をやわらげます。
トレーシングペーパーをハンガーラックに掛けて照明と被写体の間に入れます。
※トレペについては、当サイト「環境部材」ぺージへ
ちなみに、簡単に照明を調達するなら、こういう方法(セット)も採れます。
身近にある勉強や事務に使うスタンドライトを使うと手軽に照明が調達できます。
トレぺをハンガーラックに掛ければ出来上がりです。
説明に戻ります。
比較すると違いが良く分かります。右写真を見ると影も薄まりコントラストも落ち着きました。
次に、左手前にレフ板をいれ、照明の光を拾って、被写体の正面へ送ってやります。
レフ板と申しましてもホームセンターで販売されている安価な白い発泡スチロール板です。
それを左手前に立てて、先程、左斜めに配置した照明の光を拾って、被写体の正面へ送ってあげます。
光を反射させて間接光で照らします。(バウンスさせて柔らかい光を加えます)
※見にくいですが、画面左手前にレフ板が立て掛けてあります。赤マーク。
手前レフ板なしの状態
手前レフ板ありの状態
レフ板からの間接光で被写体正面が少し明るくなったのが、わかるでしょうか?
(差異はDVDの方がわかりやすいです。)
あと気になる所は、被写体の右の側面のシャドウです。
この部分を調整します。
右側にレフ板(もう一枚発泡スチロール板)をいれて、光を拾い被写体の右の側面に返してあげます。
右横にレフ板をいれます。被写体に当てる光を加減しながら程良い位置でレフを立て掛けておきます。
右の側面はいかかでしょうか。キレイに調整できました。
普通はここまでの作業で終了です。商品の細部もきれいに写し出すことができるでしょう。
しかし、観察力があり光に敏感な人なら話は別です。
さらにもっと良くするために突っ込みます。
被写体上部のシャドウが気になります。
そこで上部にレフ板を設置します。
(左右のハンガーラックにさらにもう一枚発泡板を渡すだけですが。)
加えて、背景紙(バック紙)の後方から新たに照明をもう1灯入れます。
照明を後方から先程設置した天井レフ板(発泡板)にバウンスさせて被写体を上から照らします。
やはり間接光を使います。
結果です。
いかがでしょうか?右側の写真をみると頭頂部のシャドウも調整できたようです。
ライティングの考え方は簡単にこのような具合です。間接的に照らします。
被写体に顔があるなら、その表情もきれいに写し出せるでしょう。
柔らかい表情が出ているに違いありません。
レフ板操作は被写体をよく観察しながら行います。角度・遠近の微調整で光を加減してみて下さいね。
レフ板(発泡スチロール板)はホームセンターで調達できます。トレペは近くのカメラ店かネットで調達できます。照明器具のランプはホームセンター。その他の照明器具はカメラ店やネットで調達しました。しかし、照明が1灯でも必要かと思うと行動が億劫にもなります。
そこで、照明器具の必要のない「窓際撮影」を行ってみましょう。光を入れる考え方(手順)は同じです。基本を知れば応用が効きます。シーンを変えてみましょう。
窓際撮影ライティング
★番号は先程行った室内のライティング手順に対応させてあります。すべて行う必要はありません。⑤⑥は任意です。
トルソーを使い衣類を撮っています。先程学んだ要領でレフを順に入れていきます。奥は壁という設定です。2枚のレフ板の位置を確認してみて下さい③④。窓にはレースのカーテンかトレペを掛けると良いでしょう②。欲を言えば、手前の床が気になりますが、処置はDVD講座に譲ります。
バッグを撮っています。小物撮りの場合でも要領は同じです③④。左手前と右横に2枚のレフを使っています。レフ板(発泡板)は半分に切って使っても良いかもしれません。
バッグの下には白いシート(クラフトシート)を敷きました。正確な商品撮影ですので、テーブルの木目の茶系の影響を受けないよう、どちらかといえば基本の白あるいはグレーの方が良いかと思います。
窓際撮影を見ました。ここで初級者の方は素朴な疑問が浮かびませんか?「窓の近くに壁がなかったら」?
そのような場合は下の写真のような部品で対応できます。このページのどこかで見かけませんでしたか?
そしてさらに簡素化することもできます。ハンガーラックとバック紙だけを使います。「バック紙を垂らします」。もっと考えればハンガーラックに「板状のものを立て掛ける」又は「布類を掛ける」ことでバック紙も省けます。
衣類の撮影方法には「置き撮り」や「吊るし撮り」もあるのですが、それらもアイデアをひねれば工夫次第で対応できます。次回に考えてみましょう。
念のために復習しましょう。
室内ライティングの手順と窓際撮影のライティング手順を対比した後者(窓際撮影)の手順です。
① 窓からの太陽光
② 窓にレースのカーテン若しくはトレーシングペーパー
③ 左手前にレフ板(光を正面へ)
④ 右横にレフ板(光を右側面へ)
が基本です。
さらに、
⑤ 上部にレフ板入れたり、手前の床にレフ板を入れることも考えられます。
光の具合やレフの操作はしっかりと被写体の状態を見ながら微調整しましょう。観察力が大事です。商品撮影のライティングの基本は以上です。
最後に当撮影講座について少し
講座の前半で室内でのライティングを順を追ってご説明してきましたが、それは同時に当講座でご提案するハンガーラックで作る「簡易スタジオ(小物撮り環境)」のライティングでもあり、構築手順でもあります。
実は、同時に「小物撮りスタジオ」の構築方法も学んで頂いたことになります。
「簡易スタジオ(小物撮り環境)」
このような環境です。講座では会議テーブルを活用していますが、普通の家庭用テーブルで構いません。
さらに「簡易スタジオ」には他に3つの種類がございますが、今回学んだ「小物撮りスタジオ」を若干変形させるだけで構築が可能です。DVD講座では女性がスタジオチェンジを連続的に行っており、構築の容易さや効率性を実感してもらえるでしょう。日常的に室内で多くの衣類を撮られる方には是非とも試して頂きたいアイデア環境です。一人撮影も可能な設計です。
いかがでしたか?少し細かいことをミックスしてしまいました。消化できたでしょうか?文章で説明を追うと労力が要りますが、映像(DVD)ならこのような労力は不要です。是非ともDVDでご確認下さい。
ページ内の主な部材紹介
身近なアームライトを照明に使う例です。
★DVD講座で使用した照明例はコチラ!
アームライト
スタンドライト
トレーシングペーパー
発泡スチロール板厚さ30㎜
クラフトシート
入手ルートについては別ページをご覧ください。